栃木県宇都宮市
ご依頼の背景とお困りごと
今回は、住宅用マンションのベランダ側窓ガラスから差し込む太陽光を遮りたいというお客様からお電話をいただきました。お客様は高層階にお住まいで、南向きの絶好のロケーションをお持ちでしたが、その分夏場の直射日光の影響が深刻でした。
特に午前中から午後にかけて、4つのお部屋すべてに強烈な太陽光が差し込み、室内温度の上昇やエアコン効率の低下、さらには家具の日焼けなどでお困りの状況でした。市販のカーテンやブラインドでは十分な遮光効果が得られず、かといって常時閉め切っておくと素晴らしい眺望を楽しむことができないというジレンマを抱えていらっしゃいました。
現場確認にお伺いした際、確かに日当たりが非常に良く、夏場の暑さは相当なものになると予想されました。しかし同時に、宇都宮市内を一望できる素晴らしい眺望も確認でき、この景色を損なわない方法での遮光対策が必要だと感じました。
施工上の課題と制約条件
マンションでの工事には様々な制約があります。まず最大の課題は、建物の構造体に対するアンカーボルト固定やビス固定が管理規約により禁止されていることでした。これは多くのマンションで共通する制約で、共用部分への穴あけ工事は原則として認められていません。
また、ベランダという限られたスペースでの作業となるため、設置する構造物のサイズや形状にも制限がありました。さらに、強風時の安全性確保や、近隣住戸への配慮も重要な検討事項でした。
これらの制約条件を踏まえ、建物に一切損傷を与えることなく、かつ十分な強度と機能性を確保できる施工方法を検討いたしました。
独自の解決策とその特徴
検討の結果、ステンレス製ワイヤーを使用した上下つっかえ棒方式による固定システムをご提案いたしました。この方法の最大の特徴は、建物に穴を開けることなく、ベランダの天井と床面に圧着することで確実な固定を実現できる点です。
支柱の設計においては、外側の柱をベランダより60cm程外に出っ張るよう曲げて製作いたしました。これにより、シェードを最大限に広げることができ、より広い範囲の遮光効果を実現しています。お客様のお部屋からの眺望が非常に素晴らしかったため、支柱は極力細めに設計し、視界の妨げを最小限に抑えました。
使用したステンレス製ワイヤーは耐候性に優れ、長期間の使用でも錆びや劣化の心配がありません。また、張力の調整も容易で、季節や風の強さに応じて適切にメンテナンスしていただけます。
シェード生地と機能性
設置したシェードには、遮光率約85%の高機能生地を採用いたしました。この生地は直射日光を効果的にカットしながらも、適度な光を室内に取り込むことができるため、昼間でも室内が暗くなりすぎることがありません。
また、通気性にも配慮した素材選択により、シェード設置時でも自然な風の流れを確保できます。これにより、ベランダ特有の風通しの良さを活かしながら、遮光効果を得ることができます。
シェードの固定システムには特殊なゴム製クリップを採用し、お施主様ご自身で工具を一切使わずに着脱していただけるよう設計いたしました。天候や使用目的に応じて、簡単にシェードの取り外しや再設置が可能です。
仕上がりとお客様の反応
完成したシェードシステムは、機能性と美観を両立した仕上がりとなりました。4つのお部屋それぞれに最適化されたサイズのシェードにより、効果的な遮光効果を実現しています。
お客様からは「こんなに簡単に着脱できるとは思わなかった」「景色を楽しみながら暑さ対策ができて大満足」「室内温度が明らかに下がって、エアコンの効きも良くなった」といった嬉しいお言葉をいただきました。
特に、工具不要での着脱システムについては、「女性の私でも全く問題なく操作できる」とご評価いただき、使い勝手の良さを実感していただけました。
技術的なポイントと今後の展開
今回の施工で特に注力したのは、建物に一切損傷を与えない非侵襲的な設置方法の確立です。この技術は、同様の制約があるマンションでの遮光対策として、今後も広く応用できると考えています。
また、景観を損なわない細部へのこだわりや、ユーザビリティを重視した着脱システムは、弊社の技術力とお客様への配慮を示すものと自負しております。
建物側に一切穴を開けることなく、容易に着脱できる今回のシェードシステムは、弊社としても技術的に満足のいく仕様となりました。このような独自のソリューションにより、お客様の快適な住環境づくりに貢献できることを大変嬉しく思います。
この度は貴重なご依頼をいただき、どうもありがとうございました。今後とも末永くお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。